
理数科教師隊員といえば、学校。これを抜きにしては語れないでしょう。苦悩の原因であり、エネルギーの源でもある学校。
赴任しているセカンダリースクールには、日本で言えば中3から高3にあたる生徒達が通って来ています。そんなケニアの学校を紹介します。
教育制度
現在(2000年)のケニアの教育制度は8-4-4制度。内訳は、
・プライマリースクール(小学校):8年。学費は無料。義務教育では無い。全国に約16000校。国民の95%が入学、40%が卒業。
・セカンダリースクール(中等学校):4年。学費は有料。全国に約2700校。ケニアの理数科隊員はここに派遣されることが多い。
・ユニバーシティー(大学):4年。学費は国立大では国が一部負担。全国に10校。その内国立大の6校には毎年約8000人が入学資格を得られる。
また、プライマリー卒業時にKCPE(7科目)、セカンダリー卒業時にKCSE(8科目)という国家試験を受け、その成績が次の段階への入学資格を兼ねる。この他、各種専門学校も全国に700校ほどあり、技術や教員の資格を得られる。
セカンダリースクールの1日
セカンダリースクールは、大きくDaySchool(通学制)とBoardingSchool(寮制)に分かれる。その両方が一緒になっている学校もある。ケニアのセカンダリースクールは3学期制で、1学期は1~3月、2学期は5~7月、3学期は9~11月となっている。
Day School:授業は原則として1コマ40分。午前中に6~7コマ、午後に2~3コマの1日9コマの学校が多い。午前中2回と昼食時に休憩がある。授業が全て終わると、曜日によって Games(運動)や Clubs(文科系サークル)、Community Work(清掃など)、Debeat(討論)などが行われる。
BoardingSchool:DaySchoolに加え、夜や土日のPrep(自主学習)、WeeklyTest、教会活動などが含まれる。
年間行事
学校生活で最も盛り上がるのが、これらの行事。毎年決まった時期に各種の大会や修学旅行が行われる。
・Athletics (1学期): 陸上競技全般の大会。特に中、長距離走においては世界でもトップレベルの国でもあり、全国大会では選手のスカウトが行われるという噂も。ちなみに今年(2001年)の決勝戦はここキシイで行われました。
・Drama (1学期): 演劇大会。歌や踊りがメインのミュージカルのようなものから、セリフを用いた芝居まで、各校とも10分間程度の演劇を競い合う。
・Science Congress (2学期): 各校の理科好きの生徒が選抜され、実験やその原理を他校の生徒の前で説明する大会。内容だけでなく説得力も重要だが、どの生徒も実に堂々としている。
・修学旅行 : 各校によってまちまちだが、キシイでは日帰りで工場やサファリ見学というコースが一般的。行わない学校も多い。生徒にとっても初めての体験ということが多く、とても盛り上がる。
協力隊での2年間、いろいろありましたが、やはり中心は学校でした。自分の赴任先は、キシイ県ニャンカンダ中等学校。創立したばかりの小さな学校で、職員室と校舎が1つずつあるだけ。特に職員室は土壁で窓も無く、雨が降ると字が読めなくなる有様でした。そんなニャンカンダ村に外国人が訪れるのはたぶん初めての事で、赴任してすぐの頃は自分の行動一つ一つが注目されているような気がしました。
同僚や生徒、近所の人達は本当にいろいろと良くしてくれました。授業だけでなく、クラブ活動、朝礼や終礼、スポーツ大会の応援、草刈り、教会でのミサ、実験器具の購入…、たくさんの思い出ができた場所です。
